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【結論】 カランシアとはなにものだったのか。何が彼を突き動かしたのか。 シンダールの描いた虚像をこえ素顔がある程度みえたいま、これを考察してみたい。 シルマリル奪還の誓言に対する熱意という観点から読み解くとどうなるだろうか。シンダールに対する辛らつさも、兄弟と緑のエルフと人間とドワーフに対する冷静で温和なスタンスもここに立脚するとすれば、誓言成就のために打算ずくですべてを成す、極めて打算的で冷酷で執念深いカランシア像が顔を出す。 しかし、激情をもって知られるフェアノールの息子としては、それはあまりに現実感がなさすぎる。彼がすべての行為を本心から成したとしたらどうだろう。心底から中つ国を愛し、己が属する一族をまた異種族を愛したとしたらどうだろう。兄弟種族であるはずのシンダールの冷たさに怒ったとしたらどうだろう。 誓言はすべての前にあって呪詛としてカランシアを縛り、遂にはメネグロス急襲へと導いたが、そこに至るまでに深い相克、深い悲しみと絶望と愛情を経たのではないか。彼は自分自身を一つの傷ではないかと疑わなかったかとさえ私は疑う。 もっとも、どちらかなどということはわからないし、全く違う解釈も可能である。 |