Crap!....

拍手御礼第三弾〜モシャス兄ネタ〜
【プリズニャン】
HP:29 MP:6 リーザス地方
*ク「……」
*主「ククール、いくらヒャドでも、そんなに食らってたら死ぬよー」
*ゼ「鼻血の出しすぎで死ぬ方が先じゃない?」
*主「ねー、嫌がってるよー。放してやんなよー」
 
【フレイム】
HP:98 MP:0 砂漠地方 
*ク「……」
*ゼ「なにしてんの、あいつ? さっきからお兄さんの周りをうろうろしてるだけ」
*主「ジレンマなんだよねー。抱きつきたいけど、火傷するからねー」
*ヤ「バカでやんすな」
*ゼ「そんなあたりまえのこと、今更言わないでちょうだい」
 
【ミミック】
HP:144 MP:255 海賊の洞窟ほか
*ク「俺はッ! 最強のッ! 作戦をッ! 思いついたッ! 主はこれ、頼む!」
*主「え? 最後の鍵をどうするの?」
*ク「まず俺が兄貴の中に飛び込むッ! そしたら主はすかさずッ! 鍵をかけるんだァッ!そして俺は兄貴と二人きり暗い箱の中ッ! 愛し合う兄弟二人に何が起ころうとッ! その秘密は守られるッ! どうだッ!?」
*主「うん。バカだねー、ククール」
 
【キングスライム】
HP:210 MP:25 ベルガラック地方ほか
*ク「……た、助けてくれ、ゼシカ。俺はおかしくなりそうだ…」
*ゼ「なによ、真っ青じゃない。どうしたの?」
*ク「わかってないな、ゼシカ! いいか、キングスライムだぞ。キングスライムはな、あの冠を取ると…」
*ゼ「ええ、スライム8匹に分裂するわね」
*ク「そうだ…分裂するんだ。いいか、分裂するんだぞッ! 兄貴が、兄貴が八人…! 俺はどうしたらいいんだ…! いくら俺でも、そんなにたくさんの兄貴をいっぺんに愛せない…」
*ゼ「…。大王イカにでもモシャスすれば?」
*ク「そうか! その手があったか!」
 
【マッスルアニマル】
HP:142 MP:255 王家の山
*ゼ「あら、見て。ククールが困ってる」
*ヤ「マルチェロも捨て身に出やしたね。色物系を選ぶとは…」
*ゼ「でもあれだと杖スキルしか上げてないククールにはうかつに近づけないわ。さすが頭脳派イヤミね」
*ヤ「褒めてんですか、それ。あ、ククールが動いたでやんす」
*主「あれー、ぱんつ脱がせたいっぽいねー。あの手つきさー」
*ゼ「…こっからマダンテ飛ばしてもいいかしら」
*ヤ「…蒼天覇斬なら届くでやんすな」
 
 
拍手御礼第四弾〜「萌え」〜
【その1】

 水を吸った鞭は重く、皮膚を破りはしないのに常に倍する痛みを与える。立て続けの責め苦に、ククールは背に食らい付く激痛のあまり意識も半ば飛びかけながら、地下牢の土の床の上で体を痙攣させた。呼吸さえままならず肩越しに見上げた兄の顔は遠く、その表情は翳って見えない。
「おまえは自分が何をしたか、わかっているのか」
 その声ばかり冷然と降ってくる。ああわかっているさと胸の中で毒付いた。俺は院長を放っておいてドニの酒場に遊びに行った。院長は俺のいないあいだに心臓の発作を起して倒れた。団長殿がたまたま訪れなければそのまま死んでいたかもしれない。ああわかっているさとククールは考える。
「叙任を受けたときの誓いさえ忘れたのか」
 再び重い鞭が叩きつけられる。その衝撃に無様に跳ね上がり、声にならない悲鳴を上げながら、ククールは腕を噛んだ手械を握り締めた。
「――信仰もなく忠誠もなく、おまえになど騎士の資格はない」
 そうだ、俺には騎士の資格などないとククールは考える。背中の傷は燃えるようだ。俺はあんたのように真夜中に一人祈りはしない。俺はあんたのようにうまくは立ち回れない。周りだって見えていない。それでも。
「できそこないめ」
 足音が遠ざかる。扉が音を立てて閉まる。そのことに安堵よりも苦しみを感じるのはなぜだ。声もなく嗚咽し、兄の名を低く呼びながら湿った土の上を這った。足跡ははっきりと残されている。苦く笑った。
「――俺が忠誠を誓ったのは、あんただけだ…」
 苦い土に口付けし、ククールは意識を失った。
 
【その2】
 マルチェロはぼんやりと目を開いた。昼か夜かを問うことはこの場所では空しい。怠惰な麻薬が香り、豪奢な布で窓は閉ざされ、そして何度か夢うつつに目覚める都度、この体の上には肉欲を貪る誰かが群がっていた。それは男のこともあれば女のこともあり、一人のこともあればそれ以上のこともあった。そして今、この体にまたがっているのは招待主であるらしい。若くして高位を継いだ貴族であり、今度の法皇選出には欠かせない鍵となる男。要求してきたのが一夜の会合への参加であったのはあまりに安価と思ったが。
「――いまは、何時です」
 これなら高価につきすぎたほどだ。のろのろと身を起し、積み重ねられたクッションに肘を預ける。相手の顔など見る気にもならなかった。
「まだ昼前だ」
「昼には戻らねば。仕事がございます」
 男女の別もはっきりしないような細い腕がからみついてきた。この場に剣があれば叩き切ってやったがと思いながら、マルチェロは相手を見た。
「恐ろしい目だな。会議では約束通り尽力する。――ただし」
 細面の青年が笑った。マルチェロは眉を寄せる。貴族の語彙にはまったくろくなものがない。ごねるようなら首の骨を折ってやろうと考える。
「ただし?」
「――忠誠を示せ」
 マルチェロはしばらく相手の青白い顔を見つめ――ふと笑った。
「お望みのままに」
 手を伸ばして相手の薄い足を掴み取る。驚いたように抗うのをとりあいもせず引き寄せ、その拍子に寝台の上に投げ出された貴公子を見下ろした。
「剣に賭け血に賭けて誓う。御身の故に我が獅子は咆哮する」
 そして噛み付くよう、震える足に口付けした。
 
【その3】
 雨はいよいよ激しく、マルチェロは自分がなぜそこにいるのか自問した。なぜそこにいるのか。なぜ立ち去らないのか。なぜこの弟を突き飛ばし、嘲り、拒絶して立ち去らないのか。常ならそうしてなんの痛痒もないのに。
「なんで泣かない! なんであんた、泣かないんだ!」
 胸倉をつかまれ、背を壁に押し付けられ、なぜ泣かぬと問いながらぐしゃぐしゃに泣いている弟の顔を間近に見る。ああみっともない顔だとマルチェロは考える。冷静に。だが頭の隅が奇妙に痺れている。額に巻いた包帯のせいではないなら、それは奇妙なことだ。
「悲しいんだろう? 悲しくないわけがないだろう?」
「……泣く?」
 マルチェロは呟いた。雨はいよいよ降ってくる。墓所はもう夕暮れに沈み、人影もない。マルチェロは弟を見下ろした。この日、ただひとり父と慕ったひとが死んで葬られた。そうだ、悲しくないわけがない。ではなぜ私は泣いていないのだとマルチェロは自問する。顔の上を流れてゆくのは冷たい雨の透き通った水滴ばかりだ。
「泣けよ!」
 震える唇で弟が告げた。マルチェロはしばらく沈黙し、それから視線を弟の肩越し、雨にけぶる真新しい墓の方を向けた。すべてが定かでない。ああ、すべて定かでない。雨の煙幕にかけられてすべて遠い。悲しみさえ。
「――だが、どうやって?」
 自分の胸倉をつかんだ男が絶望したようにうつむき、声もなく泣き崩れるのを、マルチェロはわずかに知った。
 
【その4】
 頬の上に手が触れるのをククールは知った。これは夢なのだろうか。だが見たこともない穏やかな顔した兄は消える様子もない。我知らず触れられた手を掴みながら、ククールはかすかに震えた。
「――バカ兄貴」
 声もまた震えている。ああ、こんなことが言いたいんじゃない。こんなことを言って怒らせたいんじゃない。よく目覚めてくれたと、よく死なないでくれたと。よく…
「すまない」
 囁かれた言葉はひどくやさしいのに、そのやさしさは心臓に突き刺さるようだ。震えて、どうしようもなく震えて、掴んだ手を頬に押し当てる。
「この、バカ…」
「すまない」
 するともう一方の手まで伸びてきて、その腕のうちに抱き取られた。ああ、幸福感は息もできないほど激しく押し寄せてきて。この胸を。
「ば、か…っ」
 この胸を。満たす。満たして。
「――泣くな」
 あふれ出る。ああ俺は、と、ククールは考えた。声もなく泣いている。
 
【その5】
 館はごく静穏とみえた。夜の修道院にふさわしく。男もまたわずかもその静けさを揺るがしはせずに奥まった部屋に進んでいった。眠らずの騎士の守る部屋。だが交代の時刻は教わっている。案の定、いるはずの兵士はいない。男は蛇のごとく部屋に滑り込んだ。
 部屋は暗く、仕事熱心と噂の団長の姿は机の前にはない。それもそうだ。夕方遅くに遠くアスカンタから戻ったばかりでは鉄の団長も疲れよう。それでこの男の役目はというと、とりもなおさずその懐のダガーが語っている。腕の立つ暗殺者ではあったがこの任務には二の足を踏んだ。当然だ、相手が守り強固なマイエラの、その要たる団長とあっては。しかし依頼主は大枚を積んだし、ことこまかに館の作りについてまた騎士たちの通らぬ通路とその時刻を彼に教えたから、最後には彼もしぶしぶ頷いた。
 ここまでのところはうまくいったと考えながら、男は暗色の幕に隔てられて寝所に足を踏み入れた。だがこの先はどうか。壁際には泥だらけの長靴があり、寝台の端には無造作に騎士の衣装がひっかかっている。つまりそれだけ部屋の主が疲れていたということだ。男は足を踏み出し――
「……」
 前方の身じろぎもしない寝台には嫌な予感がある。だが引き返すことはもうできない。ダガーを抜き、音もなく床を蹴った。だがその視界を翻った敷布が覆い、必死にうっちゃれば闇の中の獣めいた影がある。それをしかと目にする前に、飛来した鋼が男の目を二つながら叩き落した。
「まったく、うるさい蝿だ」
 低い不機嫌な声の後にもういちど飛来した鋼は、男の頭をやすやすと切り落とした。眠りを破られたマルチェロは汚れた剣を投げ出し、片手で顔を拭った。見下ろせば、闇になお浅黒く浮かぶ裸身にも血ははぜている。
「――面倒な」
 マルチェロは呟き、不機嫌に笑った。
 
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