弟→兄考察....6

【ED後】
「世界が良くなったのかそうでないのか、俺は知らない。修道院をおん出て、なにもかも投げ捨てて、それでも俺はあんたのことを考えている。願わくは、この道がいつか、俺をあんたのもとに運ぶように」
 
 ククールはしがらみを捨て、身軽になった。彼はもはや望む通りの一人の完全な人間であり、中途半端な聖堂騎士ではない。仲間は深い絆で結ばれてはいても道はすでに分かたれており、友情は彼を縛らない。だがそうして身軽になったとき、かえって彼はその軽さのために、マルチェロへの思いがまだ確固として存在していることを悟るだろう。
 ククールにとってマルチェロはもはや「団長」ではないが、引き続いて「兄」ではある。あらゆる道を踏み迷った挙句、マルチェロは依然として人の形をした郷里だ。だがククールはかつてのククールではない。彼はまだどのようにしてマルチェロを愛したらいいのかわからないだろう。忘れた方がいいと思うこともあるかもしれない。ときには本当に忘れたのだとさえ思うだろう。だが、物語の初めには非常にいびつに歪められて奴隷的な憎しみとさえ変わりなかったような愛情は、多くの鎖が解き放たれた終局でより純粋になり高められて心の奥底に見出されよう。とはいえ彼が道の先で何に出会うかは推測しえないところである。
 
 
 
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