かみさま、僕は悪いことをしました。 お庭の白い花を摘みました。 乳母やの言いつけを破ってお昼寝をしませんでした。 朝ごはんのミルクをこぼしました。 お出かけ用の靴をはきたくなくて、こっそり隠しました。 乳母やが探してたけど、知らないってうそをつきました。 (外では雨が降っている。部屋のあちこちに置かれたたらいや、 鍋にも水が落ちている。子どもは祈りながら震えている) かみさま、ごめんなさい。 ごめんなさい、もうしません。 僕は悪い子ですが、いい子になります。 きっといい子になります。 だからお母さんを泣かせないでください。 だからお屋敷に帰らせてください。 かみさま、僕はきっといい子になります。 このあいだ生まれたおとうとをかわいがります。 きっと一緒に遊んでやって、おやつも分けてあげます。 (水の音に混じり、闇の向こうからはむせび泣きが聞こえる。 子どもは両手を重ね、一心に祈っている) ここは寒くて、家の中でも雨が降ります。 床板も腐っています。 お母さんは泣いてばかりです。 ああ、僕はきっといい子になります。 かみさま、おねがいします。 |